『藍は生きもの』
「藍を着る」というのは色うつりの粋さ、渋く落ち着いた「通好みの着物」に仕上がってゆく、その過程をも楽しむこと。時の移りをも含めた深遠な美しさは伝統技術ならではの味わいであると言えます。
天然藍の第一の特徴は水洗いごとに不純な色が落ち青藍本来の落ち着いた色相が冴えてくるということです。
色落ちといえば衣服にとって欠点のように思われますが、藍染の場合、それこそが藍を着るということの証であると考えていいと思います。
江戸時代の粋な人達は下に着た白地のものに色移りした藍がうっすら映る影を非常に趣きのあるものとして楽しんでいたと言われています。
化学染料を使った化学藍が大半になり「藍は藍より薄く」なった現在、なお天然藍の青さにこだわり守り続けようとする人たちの作品を見て触れて、着用して、「青は藍より出でて、藍より青し」の色合いを肌で感じて下さい。
画像の帯は阿波本藍染の技術保持者、堤悌一による染めに、竹田耕三の絞りで染められた九寸名古屋帯です。
左 夏着物 絽小紋
右 浴衣 綿紅梅
左 八寸組帯
右 九寸名古屋帯