琉球王朝の粋を織りで伝える

首里の織物とは、琉球王国の王都、首里で士族女性の間に母から娘へと秘伝の技術として伝えられてきた織物の総称です。その技法は7〜9種類ともいわれ絣織物、花織(はなうい)、絽織(ろおり)、道屯織(ロートンうい)などの紋織(もんおり)がある。これら織物の伝統を継承しているのが宮平初子さんです。

琉球王朝文化が色濃く残っていた戦前の首里で生まれた宮平初子。御殿(うどぅん)の人々や機織りの様子を見聞きして育ち、第二次世界大戦で焦土と化した首里の地で絶滅寸前であった首里の織物を復興する中心人物となりました。

花織とは、かつての琉球各地でおられた紋織技法の一つです。組織的には糸が浮いて紋をつくる浮織です。その浮織も各地において多種多様な技法があります。

なかでも琉球王朝の御用布に指定されていた読谷山の花織が有名で、読谷山の女性たちは首里の王府や読谷山御殿に招かれて王家のために花織を織ったといいます。

宮平初子が追求し続ける首里の織物は幾種類もの技法があるのが大きな特徴ですが、氏はそれに加えて「色」に首里らしさがあると語っています。沖縄の眩い光のもとに誕生する色はその地の植物と水によって染められる。そこに、その土地の色がある。

こちらで紹介したものは宮平初子氏の作品とルバース・ミヤヒラ吟子、宮平一夫による、たんせい込めて織りあげた逸品です。